写真提供:寺尾淳氏Homepageより
アイルランドを語る時、パブをなくして語れない。
パブは、アイルランド文化のひとつである。アイルランドの人々にとって、他のどの場所よりもパブは人々の生活の重要なコミュニケーションの場である。ギネスを飲みながら新聞を読む紳士、昼時は、軽食や紅茶を楽しむ学生や旅行者、ビジネスマンなどで賑わう。アイルランドでは、喫茶店のようにパブでコーヒーや紅茶を楽しむ人が多い。
パブは夜の店と思っていると大違い。
旅行者にとって、パブ・ランチは経済的に楽しめる昼食である。お酒を飲まずとも、サンドウィッチ、スープ、サラダ等を気軽に食べれる。カウンターで注文し、その場で代金を払って自由に席につく。カウンターで注文の時は、チップは不要。ウェイターを通じて注文した時は、チップをウェイターに渡す。
夕方4時を過ぎると、俄然パブに活気が出てくる。
仕事を終えた人々が集い始める。アイリッシュ・ウィスキーを楽しむ者、ギネスを一気に飲み乾す者。
そして、客どうし、またはバーテンダーとのウィットに富んだあらゆる会話が始まる。ロマンス・政治・経済・文学・スポーツ・音楽……会話は尽きることなく最高潮へと進んで行く。お酒が進むにつれ、会話に艶っぽさも表れ、より身近な日常の出来事が飛び交うことも。
きっと、旅行者はアイルランド人の生活を垣間見ることができるだろう。たとえお酒が飲めなくても大丈夫。十分雰囲気を味わってほろ酔い気分に浸れるから。
【オコンネル通り聖ジョセフ協会の向かいにある「サウス・パブ」】
「見知らぬ人とはまだ出会ったことのない友人」 … アイルランドの諺
恥ずかしがり屋のアイリッシュは、旅行者に対していきなり話しかけたりはしない。
しかし、興味を浮かべて話す機会を窺がっている。そして、いつしか大歓迎され仲間の一員になっているであろう。
私もそうであった。「どこから来たの?」から始まって、次から次へと話題を振ってきてくれて、多いに盛り上がり、
そして、お調子者の私は飲みすぎてしまい翌日散々な朝を迎えてしまった。
パブには、村や街によりさまざまな独特の雰囲気と魅力がある。
そして、各地の地酒の探求には重要な場所だ。特に、黒いギネスビールはアイルランドで飲むからこそ美味しい気がする。多くのパブは昔ながらの伝統的雰囲気を守っているようだ。
ウィスキーはアイルランドで生まれた。ウィスキーの語源はアイルランド語の「ウィスケ・バハ(命の水)」だそうだ。
歴史は、千年以上も前に遡る、紀元6世紀頃、アイルランド東部の修道士が作り始めたものだということだ。
19世紀に至るまで、ウィスキーといえば、欧米ではアイリッシュ・ウィスキーのことを指す時代が続いた。その後、スコッチ・ウィスキーにトップの座を奪われるが。
南部のミドルトン市にあるジェイムソン・ヘリテッジ・センターは、歴史的な蒸留所施設を改造した、昔の雰囲気の残る所である。テイスティングも好きなだけ出来、アイリッシュ・ウィスキーのことが解る。
ダブリンのジェイムソンでもテイスティングが楽しめるので、お酒の好きな方にはお勧めである。
【パブの光景】
パブで欠かせないのが、パブ・ミュージックである。
会話を妨げることなく演奏される音色は心地よい酔いを誘う。
ダンスミュージックなどを演奏するトレンディなパブより、
私は田舎町のソウルフルなアイリッシュ・ミュージックで酔うほうが好きだ。
ケルトの精神文化に触れた気がするから。
とにかく、アイルランドへ旅したならば、まずパブへ行くことをお勧めする。
アイルランドのヒューマン観察やケルトの精神文化と音楽に触れるいちばんの楽しめる場所だと思う。
恥ずかしがり屋で気取らないアイルランドの人々と
樽から注いだばかりの黒いミステリアスなギネスビール
女性も子供も旅行者も誰もが今日の主役
そして夕闇が忍び寄る頃には
アイリッシュ・ウィスキーとアイリッシュ・ミュージック
宴酣ではいつしかみんながミュージシャン・・・みんなで合唱が...
【尽きることない会話で賑わうパブ】
23:30・・・・「閉店〜!」
店員が店内を叫び回る。 いつもの光景。
その声を聞き、みんな最後の1杯のグラスを傾ける。
そして家路へと向かうのだ。
パブを後に、通りへ出る
火照った頬に気持ちよい風と移り気などこまでも続く空
今もなお語り継がれる妖精伝説が脳裏を霞め
今宵はひょっとして逢えそうな...そんな気にさせるアイルランドの静寂夜。
・・・・・・・第2章へ続く
Deraの知ったかミニ情報
≪パブの開店時間≫
パブの開店時間は北アイルランドと共和国では少し違います。
そして、法律で下記のように規制されています。
*北アイルランド
月曜日〜土曜日・・・11:30AM〜11:00PM
(1:00AM迄のところあり)
日曜日・・・12:30PM〜2:30PM
&7:00PM〜10:00PM
*共和国
月曜日〜土曜日・・・10:30AM〜11:30PM
日曜日・・・12:30PM〜2:00PM
&4:00PM〜11:30PM
≪おもしろツアー≫
5月〜10月には、ダブリンのパブを梯子するツアーがあります。
The Bailey pub(Address:2−3 Duke St,рT40228)
7:30PM集合
アイルランド銀行:1733年の建築(ジョージアン様式)。
かつての国会議事堂。
内部には、ウォーターフォード・クリスタルの
素晴らしいシャンデリアが残っている。
営業時間:10:00〜16:00 木曜日:10:00〜17:00
ガイド付きツアー:木曜日 10:30,11:30,13:45
所要時間45分 無料
【アイルランド銀行周辺のデーム通り・ダブリン市内で最も古い地区】
ピックアップ・観光スポット
聖パトリック大聖堂 St.Patrick's Cathedral
Address:Patrick's Close, Dublin 8
пF(01)754817
1191年創立。
ダブリン最大のアイルランド国教会(プロテスタント)
5世紀に、アイルランド守護聖人パトリックが
建てたものだと伝えられている。
内部は、美しいステンドグラス、
古いケルトの墓石、鐘楼の鐘などが
保存されている。
開場時間 : 9:00〜18:00
土曜日 9:00〜17:00
日曜日 10:00〜16:30
休日なし・無料
【聖パトリック大聖堂(ダブリン)】